「セラミックヒーターを使っているけれど、昇温が遅い…。」とお困りではありませんか?
もし遠赤外線ヒーターの昇温スピードや加熱性能でお悩みであれば、TPRのQUTクイックウルトラサーモシリーズをご検討ください。
QUTヒーターは最速15秒でマックス温度600℃まで昇温する特殊な遠赤外線ヒーターです。本記事ではQUTヒーターの種類や特徴について、わかりやすく解説しています。
現代の製造業はグローバルな競争に勝ち抜くため、より早く、より安価に製品を市場に投入することが求められています。そのため、製造ラインでは生産タクトの短縮、開発現場では開発スピードのアップが必要です。
加熱・乾燥は工業製品で必須の工程ですが、他の工程より時間がかかるケースが多く、多くの企業が頭を悩ませています。以下の記事でも解説しているとおり、遠赤外線ヒーターを使用した放射加熱であれば、ネックとなっている加熱工程の時短が可能です。
しかし、セラミックヒーターに代表される一般的な遠赤外線ヒーターは、立ち上がりの昇温スピードが遅いという欠点があり、頻繁に温度条件を変更する開発現場での使用には適しておりません。そこで活躍するのが、昇温スピードと加熱性能を両立したTPRのQUTクイックウルトラサーモシリーズです。
QUTクイックウルトラサーモシリーズは、非常に素早い昇温と降温が特徴の遠赤外線ヒーターです。
一般的なセラミックヒーターとは異なり、表面に特殊なセラミックを溶射した薄い帯状の金属を発熱体として、直接通電することで発熱します。これにより、瞬間的に設定温度に到達して、不要な時はすぐに降温できるのが特徴です。
遠赤外線はセラミックの温度が上がることで発せられます。セラミックが発熱体から剥離・脱落するとQUTヒーターの性能は低下しますが、TPRの溶射技術によってセラミックが剝離するリスクは極めて小さいことも特徴の1つです。TPRでは以下の動画のとおり、自社で溶射を行っています。
このようにQUTクイックウルトラサーモシリーズは、遠赤外線ヒーターながら即昇温が可能であり、なおかつセラミックの剥離レスによって性能低下が極めて起こりにくいのが特徴です。
QUT50 | QUT60 | QUT81 | |
定格電圧(V) | 35V | 50V | 50V |
消費電力(kW) | 0.60 | 0.69 | 0.59 |
電流(A) | 17.1 | 13.8 | 11.8 |
ケース寸法(mm) | 124×124 | ||
質量(g) | 360 | 370 | 250 |
ケース材質 | セラミック | セラミック | ステンレス |
TPR商事では上記の表のとおり、3種類のQUTヒーターを製造・販売しており、使用する設備や用途によって選定いただいております。
いずれの機種もKタイプの熱電対(センサー)の有無を選択でき、センサー付きタイプのQUTヒーターは温度調節器などの制御機器と組み合わせることで、高精度な温度コントロールが可能です。
3種類のQUTヒーターにはそれぞれ特徴があり、お客様の用途に合わせて選定いただく必要がありますが、どの機種を選べばよいかお悩みになることもあるでしょう。以下にそれぞれの機種の特徴について詳細を記載しますので、選定の参考にしてください。
QUT50はシリーズの中でも最も歴史があるロングセラー商品です。他のシリーズと比較して発熱体の幅が広く、遠赤外線の放射面積が広いため、同じ温度でもより多くのエネルギーをワークに与えられます。最高温度への昇温スピードは約30秒です。
デメリットになるのは1枚あたりに掛けられる電圧が35Vまでという点です。200Vで使用する際は降圧トランスを使用するか、6枚を直列でつなぐ必要があります。6枚を直列でつなぐと、1枚あたりに掛かる電圧は約33.3Vとなり、定格35Vをわずかながら下回ります。
QUT60はQUT50のデメリットである定格電圧を50Vに改良したヒーターで、100V、200Vの電源でも接続しやすく、能力をフルに発揮できます。QUT50と比較して最高温度までの昇温スピードが約15秒とさらにスピーディーです。
QUT50と60は外周ケースがセラミックで構成されています。外周ケースからも温まることで遠赤外線を放射するため、ワークに多くのエネルギーを与えられますが、外部からの衝撃に弱く、ヒーター1枚あたりの質量も重くなるのがデメリットです。
QUT81は外周ケースがステンレスで構成されている軽量タイプのQUTヒーターです。QUT50と60とは異なる発熱体材料を使用しており、最高温度時の消費電力が0.59kWと省エネを実現しています。
必要に応じてヒーターが可動する設備に最適であり、真空成型機の予備加熱用ヒーターとして多数の採用実績があるヒーターです。
QUTヒーターはクイックレスポンスで昇温する性能が評価されて、様々な工程で導入されています。
2つの事例について、導入後の声を確認していきましょう。
お弁当のプラスチック容器や車のダッシュボードなどの内装部品は、真空成型と呼ばれる工程で製造されています。PPなどの樹脂を熱源で加熱して柔らかくした後、金型に投入して真空引きして密着させることで成形する工法です。
樹脂の予備加熱には以前から遠赤外線ヒーターが使用されていましたが、セラミックヒーターなど一般的な遠赤外線ヒーターは温度応答性が悪く、常時通電を行い、既定の温度に保っておく必要がありました。
QUTヒーターを採用することで、樹脂の予備加熱時にだけ通電する方法に変更が可能です。待機時間中の消費電力を大幅に削減して、品質は同等以上を確保できたと多くのお客様から喜ばれています。
車載用シートの製造には、骨組みとなるフレームに本革や合皮を被せる工程があります。シートは保管や縫製時にどうしてもしわが寄ることが多く、フレームに被せた後に熱をかけて伸ばす作業が必要です。
スチームアイロンなどで直接シートを加熱する方法を取っていたお客様では、直接加熱による焼けや水分による電子部品への不具合が課題でした。QUTヒーターへ熱源を変更することにより、非接触での加熱が可能になっただけではなく、温度センサーとの組み合わせで常時正確且つ安全な加熱が可能になったと喜んでいただいております。
QUTヒーターはクイックレスポンスで即昇温・降温することが魅力の遠赤外線ヒーターですが、初めて導入するお客様は従来の熱源から置き換えができるかどうか不安に感じられると思います。以下に導入を検討されているお客様からのよくある質問をまとめましたので、ぜひ参考にしてください。
TPR商事は、QUTヒーターの導入に向けての技術サポートが可能です。専門部署の機器営業部の技術スタッフが丁寧に説明します。
また実際に使用してみて、効果を確認したいというお客様にはデモ機の貸し出しや、TPR商事のサーマルテクノセンターでのテスト対応も可能です。従来の加熱工程を改善したいと考えていらっしゃるお客様は、ぜひお気軽にお問い合わせください。