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エンジンの冷却水に
使えるワックス式温調弁

2021.04.28

自動温度調節弁というバルブをご存知でしょうか?

「温調弁」と呼ばれるこのバルブは、舶用業界を始めとして、多数使用されており、その機能は各種機器類、機関に対して重要な役割を担っています。

この記事では温調弁の中でも、電気や空気を使用せずに自動で温度調節が可能なワックス式温調弁を紹介します。

具体的な事例として、エンジンの冷却水を制御する事例についても解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。

ワックス式温調弁とは?

TPR熱学が製造し、TPR商事で販売するワックス式温調弁は、特殊な作動機構(ロータリータイプ)をもつ自動温度調節弁です。

1969年に英国のウォルトン社と技術提携し、国産化したもので、約50年ほとんど構造を変えていないロングセラー商品となっています。

ワックス式温調弁は、弁を通過する流体の温度変化によりクーラ側とバイパス側の流量を制御する三方弁です。

電気式、空気式等他力作動によるものと異なり、自力で作動します。主な特徴は以下の通りです。
  • 電気、エアなどの動力が不要
  • 電気配線や空気配管等の設備が不要で取付けが容易
  • 内蔵されたワックスエレメントにより、任意の温度設定が可能
流体の温度制御をするために電気やエアなどを使用しない自力式なので、電気やエアを使用する他力式の温調弁からワックス式温調弁に置き換えることで省エネとなります。製品詳細はこちら

ワックス式温調弁の用途

ワックス式温調弁は流体温度を制御する様々な場面において使用することができます。

船舶用の主機及び補機のエンジンの冷却水や潤滑油の温度調整、油圧機器の温度制御、空調や冷凍機のコンデンサ冷却水温度制御などが主な使用用途です。

ワックス式温調弁は配管の中で熱負荷(機関、コンデンサ、その他)の入口に使用される混合型でも、熱負荷出口に使用される分流型でも使用可能です。

混合型は熱負荷の入口に取付け、温水と冷水を混合し、適温で熱負荷に供給します。

分流型は熱負荷出口に取付け、熱負荷から出てきた温水をバイパスとクーラに分ける働きをしています。

エンジンの冷却水の温度制御をするワックス式温調弁

エンジンの稼働を高能率にかつ経済的運転を保つためには、冷却水や潤滑油の温度は最適な一定温度に維持しなければなりません。

冷却水温度が低すぎる場合は完全な燃焼が行われないので、計画出力がでないばかりでなく燃料消費が多くなり、また燃料残滓による部品の異常摩耗、潤滑油の早期劣化等の悪影響を及ぼします。

潤滑油は温度により粘度の変化が大きく、最適な潤滑性能や清浄効果を得るために、一定の温度維持が必要です。

海水冷却でエンジン冷却水から造水機に水を取る場合に、温度が低いと造水能力が落ちるためワックス式温調弁の取付けにより、機関側を温度調節するとともに一定温度の冷却水が造水機に供給されるので、計画容量の造水が可能となります。