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真空成形の不良原因は加熱にある|ムラや変色を解決する遠赤外線加熱

2025.12.02
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「真空成形で、同じ条件のはずなのに不良が起きてしまう…。」とお困りではありませんか?

真空成形では「加熱」が品質を左右します。特にABS・PS・PETなどの熱可塑性樹脂は、わずかな温度差によって伸び方が変わり、加熱ムラ、白化や変色などの不良が発生するのが特徴です。

本記事では、真空成形で起こる不良と原因を整理し、即熱式遠赤外線ヒーターQUTクイックウルトラサーモによる改善方法を解説します。

真空成形で頻発する不良と原因

真空成形で起こりやすい不良の代表例は、以下のとおりです。

  • 加熱ムラ
  • 肉厚ムラ
  • 過剰加熱による変色

それぞれの詳細を以下で確認しましょう。

加熱ムラ

真空成形で最も多い不良が加熱ムラです。シート表面の一部が十分に軟化せず、伸びに差が出ることで、製品形状の偏りや引け、寸法不良が起こります。

従来熱源の代表である棒状ヒーターでは放射分布が均一ではなく、ヒーター自身の熱容量も大きいため、立ち上がりが遅いという課題がありました。シート内の温度差が発生して、オペレーター側で補正しようとしても追従できず、ロットごとのばらつきが大きくなります。

肉厚ムラ

肉厚ムラは加熱ムラ以上に成形品の強度・外観に影響する不良です。シートが均一に軟化していない状態で真空吸引すると、温度が高い部分だけが先に伸び、角部が薄肉化し、底面が厚く残るなどの非均一な成形となります。

特に深絞り形状の場合、わずかな温度差で肉厚バランスが崩れ、歩留まりの低下につながるため、注意が必要です。

過剰加熱による変色

樹脂を必要以上に加熱すると、白化や黄変、気泡などの不良が起こります。特にABSは高温域では分解が進みやすく、表面のツヤが落ちたり、裏面に焼け跡が残ったりします。

従来熱源である棒状ヒーターは出力調整が粗く、急激な温度上昇を避けにくいため、過加熱による不良が発生しやすいという課題がありました。特に夏場や装置立ち上がり直後は温度管理がシビアになります。

加熱ムラが発生する要因

真空成形の中でも最も起こりやすい不良である加熱ムラは、以下の要因によって発生します。

  • シート内での温度ムラ
  • 外気温によって昇温速度が変動
  • オペレーターに依存した調整

それぞれの要因を掘り下げて確認していきましょう。

シート内での温度ムラ

熱可塑性の樹脂シートは樹脂組成や厚み、含まれる添加剤によって吸収する熱量が変わるため、ロール方向の応力差がそのまま温度ムラとして現れます。

シート送り速度や位置ズレによっても温度ムラは発生するので、ロット間の均一性確保は非常に困難です。

外気温によって昇温速度が変動

夏と冬で外気温が大きく異なる現場では、シートの昇温速度に与える影響も無視できません。特に冬場は設定温度に達するまでの時間が長く、シート投入タイミングがずれることで過熱や不足加熱が発生します。

従来の加熱方式である棒状ヒーターやセラミックヒーターの温度制御は応答速度が遅いため、環境変動への適応が難しく、日単位で条件を変えなければ安定した品質が保てません。

オペレーターに依存した調整

真空成形は「シートの垂れ具合」による調整が多く、オペレーターの技能差が品質に直結する工程です。しかし、熟練者が不足する中で、勘と経験に依存した加熱調整は再現性が低く、夜勤や交替制ではロット差が大きくなります。

真空成形機のヒーター制御方法によって、改善できる可能性が高い問題ですが、まだまだ高性能の制御方法は浸透していないのが現実です。

従来加熱方式の限界

従来の加熱方式である棒状ヒーターやセラミックヒーターは、初期導入コストが低い反面、以下のような構造的な限界を抱えています。

  • 放射ムラが大きく、シート面内で均一な加熱ができない
  • 立ち上がりが遅く、昇温に時間がかかる
  • 熱容量が大きいため、細かい温度制御が難しい
  • オーバーシュートが起こりやすく、過加熱の原因となる
  • 省エネ性が低く、ランニングコストが高止まりする

これらは真空成形における不良の主要因となっており、装置側の制御精度を高めない限り、品質の安定化は実現できません。

即熱式遠赤外線ヒーター『QUTクイックウルトラサーモ』が不良を減らす理由

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TPR商事では、真空成形機の新熱源として『QUTクイックウルトラサーモ』をご用意しております。QUTは以下の特徴で不良を減らすことが可能です。

  • 1℃単位で細やかに温度調整できる
  • 特殊セラミックを溶射しており、放射特性に優れている
  • 昇温スピードが速く、省エネ性能が高い

それぞれの特徴を確認していきましょう。

1℃単位で細やかに温度調整できる

QUTヒーターは熱容量が小さく、応答性が非常に高いのが特徴です。

温度調節器のPID制御により1℃単位での出力調整が可能で、外気温の変化やシートのロット差に対して自動で補正を行う制御に適しています。従来の加熱方式で起きやすかったオーバーシュートを抑え、安定した温度プロファイルを維持できるため、季節変動やオペレーターの技能差を大幅に低減可能です。

特殊セラミックを溶射しており、放射特性に優れている

QUTヒーターには特殊セラミックの溶射層が形成されており、樹脂が最も吸収しやすい波長帯で高効率の遠赤外線を放射します。これにより、樹脂内部まで均一に熱が伝わり、加熱ムラを抑制できます。

従来の加熱方式と比較して均一加熱性が大きく向上し、深絞り形状でも肉厚バランスを保ちながらの成形が可能です。

昇温スピードが速く、省エネ性能が高い

QUTヒーターは立ち上がりの昇温スピードが速く、必要なタイミングで必要な量だけ加熱する制御が可能です。従来の加熱方式とは異なり、待機時はヒーターをOFFにする制御が可能なため電力消費を大幅に削減できます。

昇温スピードが速いことで、成形サイクルの短縮にもつながり、生産効率の向上と省エネを同時に実現できる熱源です。

QUTヒーターの詳しい特徴については、以下の記事で詳しく解説していますので、合わせてご覧ください。

TPR商事が提案する加熱ソリューション

真空成形で起こる不良の多くは、加熱工程に原因があります。温度ムラを極力減らすためには、熱源の細やかな調整とオペレーターの技能に頼らない制御方法が重要です。

TPR商事が提供するQUTヒーターは、真空成形の不良を減らせる可能性があります。TPR商事では、ヒーター単体の導入だけでなく、既存成形機への組み込みや温度プロファイルの最適化、試作段階での成形検証まで一貫してサポートが可能です。気になる方は以下のボタンよりお気軽にお問い合わせください。