「生産タクトを上げたらワークの加熱ムラや乾燥不良が多発するようになった…。」とお困りではありませんか?
グローバルでの競争が激化する今日では、製品のタクトタイムを0.1秒でも縮める努力を各企業が行っています。加熱・乾燥工程は安易に時間短縮すると加熱ムラや乾燥不良が発生するリスクがあり、工程全体のボトルネックとなるケースが多く見られます。
本記事では加熱ムラや乾燥不良が起こる理由や遠赤外線加熱を活用した解決策まで幅広く解説しています。加熱・乾燥工程の改善をご検討の方は必見です。
製造業において、加熱・乾燥工程は製品の機能や性能を左右する重要な役割を担っていますが、様々な要因によって、品質がバラついて歩留まりの悪化を引き起こすリスクが高いのがネックです。
例えば、電子部品の製造では、基板に塗布したコーティング剤の乾燥不足による回路のショートや、樹脂封止材の硬化ムラにより製品寿命の短縮が起こる可能性があります。塗装の乾燥工程では、乾燥ムラが塗膜のひび割れや密着不良につながり、製品の外観が損なわれます。
このように加熱ムラは品質のバラつきを引き起こし、歩留まりの悪化に直結するので注意が必要です。再生産にかかる時間と労力や生産計画の遅延は企業にとって大きな経済的損失となり、仮に不良品が流出した場合は顧客からのクレームに発展して、企業の信頼失墜につながります。
製造現場で、加熱ムラや乾燥不良が加熱ムラや乾燥不良が起きる主な理由は以下のとおりです。
それぞれの理由を掘り下げて確認しましょう。
製造現場の多くでは熱風式の乾燥装置が使用されています。高温の空気を対流させることで製品を加熱する方式ですが、空気は熱容量が小さく、製品表面から内部に熱が伝わるまで時間がかかるのがデメリットです。生産タクトを上げようとした場合、加熱する時間が短くなり、乾燥不良に直結する恐れがあります。
ホットプレートなど接触式の伝導加熱は、製品の直接加熱する方式であり、熱風加熱より短時間でワークが昇温しますが、熱源と接触していない箇所は熱が伝わりにくく、加熱ムラになりやすいのがデメリットです。ワークの変形や焦げなども起こりやすくなります。
このようにそれぞれの加熱方式にはデメリットがあり、単独では加熱ムラや乾燥不良を解消できない恐れがあります。加熱方式の違いについては、以下の記事で詳しく解説していますので、合わせてご覧ください。
素材によって熱の吸収率や熱伝導率、比熱は異なります。またワークには水分を多く含むもの、耐熱性が低いもの、発泡しやすいものなど様々な特性があります。それぞれの特性によって加熱条件を変えるのが理想ですが、製造現場では頻繁な条件変更が難しいのが実情です。
素材が違うものを同じ加熱装置で処理する場合は、ある素材では問題なく加熱できるのに、違う素材では乾燥不良が起きてしまう例が後を絶ちません。素材による特性の違いについては以下の記事で解説していますので、参考にしてください。
熱を取り扱う加熱や乾燥工程は、加熱装置の周囲環境が変動することで、品質が大きく左右されるのがネックです。室温や湿度などの変化はわかりやすいですが、その他にも前後装置の稼働状況や人が移動することによる気流の変化などにも影響を受ける可能性があります。
加熱装置に接続された集中排気装置や供給される電圧の変動によって、加熱ムラや乾燥不良が起こった例もあるので、課題が起きる原因は加熱設備以外の要因もあることを覚えておきましょう。
前述したとおり、加熱ムラや乾燥不良などの課題は様々な要因が複合的に絡み合って起こるため、既存の加熱方法だけでは改善が難しい場合が多いといえます。そこで注目されているのが、遠赤外線加熱です。
遠赤外線加熱は、発熱体から発せられた電磁波によってワークを加熱します。対流や伝導とは異なり、物質を介さずに非接触でワークを加熱できるので非常にクリーンな加熱が可能です。遠赤外線加熱での改善アプローチには以下があります。
遠赤外線加熱は電磁波によってワークの分子を振動させる加熱方式であり、ワーク内部まで熱が伝わりやすいのが最大のメリットです。このメリットにより、対流・伝導では難しかった課題を解決できる可能性があります。
遠赤外線加熱の詳しい解説は以下の記事をご覧ください。
製造現場の多くが取り組む課題に「タクトタイムの短縮」がありますが、加熱・乾燥工程がボトルネックで短縮できないことはよくあることです。
あるモーターメーカーでは、接着剤の硬化を対流式のバッチ炉で60分かけて行っていました。生産量の増加に伴い、タクトタイムの短縮を行う必要が出てきた際に検討したのが遠赤外線加熱です。
最初は加熱方式は対流式のままバッチ炉からコンベア炉への変更を進めていましたが、加熱時間を短くすることによって乾燥不良で歩留まりが悪くなることがわかりました。その後、遠赤外線加熱によるテストをTPR商事の卓上加熱炉で行ったところ、60分かかっていた工程が約10分で完了することが確認できたため、本格的に設備導入の検討が進みました。
こちらのユーザー様は世界中の工場で対流式のバッチ炉を使用されていましたが、現在は更新タイミングに合わせて順次コンベア式遠赤外線加熱炉への置き換えを進めています。
遠赤外線加熱を検討する際に利用したTPR商事の卓上加熱炉については以下の記事で詳しく解説していますので、合わせてご覧ください。
加熱ムラや乾燥不良は製造現場で生産条件を変更する際に、よく起こる工程トラブルです。トラブルが発生すると歩留まり悪化に直結するため、早期に解決策を模索する必要があります。
もし加熱ムラや乾燥不良でお困りであればTPR商事までご相談ください。現状の加熱方式をヒアリングさせていただき、改善策を遠赤外線加熱をベースにご提案いたします。お気軽に下のボタンよりお問い合わせください。