専門用語解説『タクトタイム』
2021.04.01
1. 用語の意味と基本解説(初心者向け)
定義
タクトタイムとは、生産現場で「製品をどのくらいのペースで作らなければならないか」を示す指標のことです。
■計算式 タクトタイム=稼働時間÷必要生産数
稼働時間:1日の実際の生産時間(休憩を除いた時間) 必要生産数:その時間内に作らなければならない製品の数 |
2. 現場での使われ方(専門向け)
タクトタイムは「需要に合わせた生産リズム」を示すものなので、製造業を中心に幅広く使われています。
タクトタイムの目的
タクトタイムの目的は、お客様の需要数に対応するために、どのようなペースで製品を作るる必要があるのかを把握するためです。(目標タクトタイム)
実際にはラインのチョコ停や段取り替えが発生するため、生産活動以外の要素を考慮したタクトタイムを設定します。(実行タクトタイム)
タクトタイムの一般的な用途
- ライン設計の基準
- 生産ラインを設計するとき、タクトタイムを基準に作業工程を分割し、各工程にかかる時間を均等化します。
- 「どのくらいの人数を配置すればいいか」を決める参考になります。
- 生産計画の立案
- 日や週ごとの生産目標を決める際に、「1時間あたり〇個必要」と具体的なペースに落とし込みます。
- ボトルネックの把握
- 各工程のサイクルタイム(実際にかかる時間)がタクトタイムを超えていないかをチェックすることで、生産の遅れやムダを発見できます。
- 人員配置や改善活動
- タクトタイムを満たせるように作業を分担・標準化したり、自動化・改善を検討する材料になります。
具体的な事例(自動車部品工場)
例えば1日で480個の部品を生産する必要がある場合、8時間稼働ならタクトタイムは1分です。つまり「1分ごとに1個がラインから出る」ように工程設計されます。
タクトタイムと混同しやすい用語
1. サイクルタイム (Cycle Time)
- 意味:1つの製品を実際に作業者や機械が生産するのにかかる時間
- 違い:
- タクトタイム=需要基準(何分ごとに必要か)
- サイクルタイム=作業基準(実際に何分で作れているか)
- 関係:サイクルタイム ≤ タクトタイム でないと需要に追いつかない。
2. リードタイム (Lead Time)
- 意味:製品の受注から納品までにかかる総時間(調達・生産・検査・出荷すべて含む)
- 違い:タクトタイムは「リズム」、リードタイムは「全体の長さ」
3. キャパシティ (Capacity)
- 意味:生産設備やラインが一定期間に生産できる最大量
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