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専門用語解説『コンベア搬送方式』

2021.04.01

1. 用語の意味と基本解説(初心者向け)

  • 用語名:コンベア搬送方式

定義

コンベア搬送方式とは、ベルトやチェーンなどのコンベアを使って、原料・部品・製品などを一定方向に連続的または断続的に運ぶ搬送方法のことです。

一般的な用途・事例
コンベア搬送方式は、大量のモノを効率よく、自動的に運ぶ必要がある場面で広く利用されています。

■主な用途
製造業:部品や製品を組立ラインで次工程へ送る
食品工場:パン・お菓子・飲料などを衛生的に搬送
物流・倉庫:荷物や段ボールを仕分け・配送ラインに流す
鉱業・セメント工場:鉱石・石炭・セメントなど粉体や塊を大量輸送
空港:手荷物搬送システム
廃棄物処理施設:ゴミやリサイクル資源の搬送


■具体的な事例
自動車工場:車体を吊り下げ式コンベアで溶接・塗装工程へ移動
食品工場:ベルトコンベア上で製品を検査し、異物があれば自動排出
物流センター:バーコードを読み取り、仕分けコンベアで目的地ごとに自動分岐
空港:チェックイン後の荷物がベルトコンベアでセキュリティ検査を経て搭載位置へ

2. 技術的な詳細・現場での使われ方(専門向け)

  • 技術的な仕組み

コンベア搬送方式は、人力では非効率な搬送を、自動かつ連続的に行う必要がある分野で使われる方式です。基本構造は以下の通りとなります。

  • 駆動部:モーター・減速機・駆動プーリー(チェーンやベルトを動かす源)
  • 搬送部:ベルト、チェーン、ローラーなど(物を載せて運ぶ部分)
  • 支持部:フレーム・ローラー(搬送部を支え、滑らかに動かす)
  • 制御部:センサー・PLC制御・インバータ(速度制御や自動停止を行う)
代表的な方式と仕組み

ベルトコンベア:摩擦力で物を載せて運ぶ。食品や軽量物に多い

ローラーコンベア:ローラーの回転で搬送。重量物や段ボールなどに適用

チェーンコンベア:チェーンに治具や台車を取り付け、重量物を安定搬送

スラットコンベア:金属板をチェーンで動かし、耐熱・耐衝撃性が必要な現場に利用

オーバーヘッドコンベア:天井から吊るす方式で、自動車工場や塗装工程で活躍
  • 他の用語との違い

自動かつ連続的に搬送を行うコンベア搬送方式と対極にあるのが、バッチ式の搬送方式です。バッチ式とは一定量ごとに処理と搬送を行う方式のことで、以下が代表例となります。

フォークリフト・台車搬送(人手・機械による個別搬送)フォークリフトや台車は「必要な時に必要な分だけ個別に搬送」する方式です。柔軟な対応が可能ですが、人手や機械操作が必要で効率は低くなります。

クレーン・ホイスト搬送コンベアが「地上を連続的に流す」のに対し、クレーンは「宙吊りで間欠的に移動」する方式です。重量物や大型物のスポット搬送に強いのが特徴です。
  • 現場でのメリット / デメリット
    • メリット
連続搬送が可能: 休みなく物を運べるため、大量生産や自動ラインに最適
人手削減・省力化: 作業者が運搬に関わらなくてよい
安定搬送: 一定速度で搬送でき、製品の品質を安定させやすい
自動化・制御が容易:センサーやPLCと連動し、仕分け・停止・加速などの制御が可能
多様なレイアウトに対応: 直線・曲線・傾斜・垂直搬送など、工場の設計に合わせやすい
  • デメリット
レイアウト変更が難しい: 固定式なので、工場の配置換えや製品切り替えに柔軟性がない
初期投資コストが高い:機械設備・据付工事に大きな費用がかかる
搬送物に制限がある:重量・大きさ・形状に応じて対応できるコンベアが限られる
トラブル時の影響が大きい:ラインが止まると全体の生産に直結してしまう
メンテナンスが必要:ベルト摩耗・チェーン伸び・モーター故障など、定期点検が欠かせない

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