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専門用語解説『セラミックヒーター』

2021.04.01

1. 用語の意味と基本解説(初心者向け)

  • 用語名:セラミックヒーター(ceramic heater)

定義

セラミックヒーターとは、発熱体または放熱部にセラミック素材を使用した加熱素子の総称です。電流を流すことによるジュール熱(抵抗加熱)で温度を上昇させ、表面から熱を放射・伝達します。
遠赤外線放射が強く、乾燥・予熱・表面加熱・成形前工程など、幅広い加熱用途で使用されます。耐久性が高く、温度制御がしやすい点も特徴です。

基本的な役割

セラミックヒーターの役割は、安定した表面加熱を実現し、対象物の表面温度を均一かつ短時間で上昇させることです。特に遠赤外線による放射熱の効果が高く、樹脂・ゴムの加熱、乾燥、加熱保持などに適しています。

また、形状の自由度が高く、板状・棒状・カートリッジ型など多様なタイプが利用できます。

2. 技術的な詳細・現場での使われ方(専門向け)

技術的な仕組み

セラミックヒーターは、主に 抵抗発熱体(ニクロム線、金属箔、導電性セラミックなど)+セラミック基材で構成される加熱素子です。電流が流れるとこれらの発熱体がジュール熱を生じ、その熱をセラミック基材が受熱し、遠赤外線として放射します。

構造上、以下のプロセスが加熱立ち上がりの鍵となります。

① 抵抗体が発熱し、それをセラミックが「受ける」二段階構造
ヒーター内部ではまず 金属線や導電セラミックの抵抗体が発熱します。しかし、対象物に届く熱の大部分は、抵抗体ではなく セラミック表面から放射される熱です。
つまり、「発熱体の発熱 → セラミックへの熱伝達 → セラミック表面からの放射」という二段階加熱プロセスを経るため、内部発熱がそのまま外部に放射される誘導加熱やマイクロ波加熱に比べると時間が必要になります。

② セラミックは「熱容量が大きい(比熱が高い)」
セラミック材料は一般的に 比熱容量が大きく、熱を蓄えやすい性質を持ちます。蓄熱性が高い温度が安定しやすい放射効率が高いといった利点がありますが、加熱初期には温めるべき“質量”が大きいため、立ち上がりが遅いのがデメリットです。
  • 他の用語との違い

セラミックヒーターと混同されやすい用語には、シーズヒーター、カーボンヒーターやハロゲンヒーターなどがあります。

用語特徴(要点のみ)赤外線区分
セラミックヒーター抵抗発熱をセラミックで受け、遠赤外線として放射。温度が安定し均一だが立ち上がりは遅い。遠赤外線
シーズヒーターニクロム線のジュール熱を金属シース越しに伝える方式。表面温度が高く、多用途。赤外線放射は副次的(放射より伝導主体)
ハロゲンヒーターハロゲンランプのフィラメントが発光し、強い近赤外線で瞬間加熱。応答速度が早い。近赤外線
カーボンヒーターカーボン繊維が高速加熱し、中赤外線中心の放射。応答が早く省エネ。中赤外線
  • 現場でのメリット / デメリット
メリット
遠赤外線放射による高効率の表面加熱
耐久性が高く長寿命
温度制御が容易
形状バリエーションが豊富で用途が広い
デメリット
内部加熱ができず厚物はムラが出やすい
立ち上がりが遅い
局所加熱には不向きの場合がある

セラミックヒーターは、発熱体としてセラミックを使用し、温度が安定しやすく、局所加熱や均一加熱に適しています。過熱や焼損のリスクが低く、安全性が高い点もメリットです。

一方で立ち上がりはやや遅く、瞬間加熱には不向きです。また、電力消費が比較的高く、広範囲の加熱には工夫が必要です。用途やコストに応じた選定が重要です。

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