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加熱炉導入に失敗しない!開発現場でよくある5つの失敗と回避策

2025.07.01
卓上加熱炉の課題解決型記事のサムネイル画像

「せっかく加熱炉を導入したのに、現場で使いづらい...。」そんな声を開発現場ではよく耳にします。

開発現場は、量産品の生産ラインと比較して予算や設置場所に制約がある場合が多く、安易に加熱炉を選択して失敗してしまうユーザー様が多くいます

そこで本記事では、加熱炉選定で起きがちなよくある失敗とその解決方法を事例を交えながらわかりやすく解説します。

①加熱炉のスペースが確保できない 

開発現場は場所が限られており、他の設備も必要なため、加熱炉の設置スペースがわずかしかない場合があります。そのため、加熱炉ではなくホットプレートや遠赤外線ヒーターなど熱源単体で使用して開発を行っている現場もありますが、人手が必要なうえに温度ムラができやすく開発効率が悪いのが実情です。

限られたスペースに設置するために小型のバッチ式熱風加熱炉を採用している現場もありますが、熱源単体での加熱と同様に人手がかかるため、開発効率は高くありません。

そこでおすすめなのが卓上加熱炉STHシリーズです。全長1,000mm×幅520mmとテーブルに乗るほどコンパクトなサイズでありながら、コンベア搬送方式を採用しており、ワークを投入すれば自動で加熱処理が完了します

以下はTPR商事の標準加熱炉であるSFPシリーズとサイズを比較した表です。SFPシリーズもコンパクトな加熱炉ですが、STHシリーズはさらにコンパクトだということがわかります。

名称卓上加熱炉樹脂硬化炉
型式STH-08QSTH-14QSFP-03L
外形寸法L1,000×W525×H530mmL1,600×W775×H1,140mm

卓上加熱炉STHシリーズの詳細を知りたい方は、以下の商品ページをご確認ください。

②熱が周囲に漏れて作業環境が悪化する 

加熱炉から熱が漏れるイメージ

開発現場で熱風式の加熱炉を使用する場合に注意が必要なのが、周囲への熱漏れです。熱風式の加熱炉はヒーターの熱をファンなどでかき混ぜて、空気を対流させます。バッチ式の場合は扉を閉めておけば熱漏れは少ないですが、ワークの取り出し時に作業者が熱の影響を受けやすく危険性が高いのが欠点です。

熱風式のコンベア炉の場合は、出入口の開口部から熱漏れが発生しやすく、周囲の作業環境が暑くなり、空調設備に負荷がかかります。製造ラインとは異なり、開発現場では熱漏れの対策が考慮されない場合が多く、作業者の快適性や安全性が確保できないケースも少なくありません。

卓上加熱炉STHシリーズは遠赤外線加熱方式を採用しており、熱風が対流しないため、周囲へ熱が漏れにくいのがメリットです。遠赤外線ヒーターと天面・炉壁は空間断熱されており、炉壁に触れても火傷するレベルではないため、周囲にいる作業者が安心して作業できます。

③温度変更が難しく効率的なテストができない

開発現場では、条件を変えて試行錯誤を繰り返しながら製品を作り上げていきます。加熱条件も例外ではなく、頻繁に設定を変えて最適な条件を見つけ出していくことが重要です。

ホットプレートや熱風では設定温度を変更しても、瞬時に温度は変わらず、安定するまでに時間がかかるため、効率的なテストができません。少しでも多くの条件を試すためには、即座に温度変更できる熱源が理想的です。

卓上加熱炉STHシリーズは、即熱式の遠赤外線ヒーター『QUTヒーター』を採用しています。昇温・降温が速いクイックレスポンスが最大のメリットであり、即座に温度条件の変更が可能です。

QUTヒーターについては以下の記事で詳しく解説していますので、合わせてご覧ください。

④作業者が付きっきりになってしまう

卓上加熱炉の操作部の写真

開発現場では、1人の作業者が複数の工程を担当することも少なくありません。加熱工程では温度と時間の条件を頻繁に変更して試験を行うことが多いですが、ホットプレートや熱風のバッチ炉を使用する場合、作業者が付きっきりになってしまい、開発効率が上がりません。

コンベア式の卓上加熱炉STHシリーズであれば、ヒーターの設定温度とコンベアの搬送速度を変更して、炉内にワークを投入すれば、自動で加熱処理が完了します。QUTヒーターはクイックレスポンスで即座に設定温度への変更が可能ですので、投入までの待機時間も短いのが嬉しいポイントです。

卓上加熱炉での加熱であれば、作業者が付きっきりになる必要がなく、他の工程と同時進行が可能なため、開発の効率性を上げられます。

⑤開発予算が限られて加熱炉を導入できない

開発予算が潤沢に取れないため、加熱炉の導入を見送りする、もしくは安価な試験炉を購入するユーザー様は多いでしょう。しかし、開発はスピードが勝負であり「なるべく効率良く試験を行いたい」というのが本音だと思います。

卓上加熱炉STHシリーズは、開発・試作の現場でもご採用いただけるように、機能や装備を最大限にシンプルにして、低価格を実現した装置です。必要な機能がある場合は、ユーザー様のご希望に合わせてカスタマイズもできます。以下はカスタマイズの一例です。

ご要望カスタマイズの内容
加熱処理数を増やしたい搬送コンベアの幅、全長のサイズ変更
下側からも加熱したい棒状ヒーターの追加
作業者の安全性を増したい巻き込み防止のカバー追加
温度の記録を取りたいデータロガーの追加
特殊形状のワークを処理したい特殊アタッチメント付チェーン式への変更

TPR商事では卓上加熱炉STH-14Qのデモ機を保有しており、必要に応じてユーザー様にお貸出しできます。QUTヒーターによる遠赤外線加熱は実際に使ってみて効果検証するのが一番です。デモ機の仕様をベースにユーザー様独自の仕様にカスタマイズすることで、開発現場に合わせた最適な加熱炉となります。

卓上加熱炉のデモ機貸出については、以下よりお気軽にお問い合わせください。

まとめ|開発を効率的に進める加熱炉選定のために

TPR商事ではSTHシリーズの他にも、樹脂硬化炉SFP-03Lをデモ機としてご用意しております。STHシリーズとの仕様の違いについては下の表をご覧ください。

名称卓上加熱炉樹脂硬化炉
型式STH-08QSTH-14QSFP-03L
外形寸法L1,000×W525×H530mmL1,600×W775×H1,140mm
ヒーターQUT60×8枚QUT60×8枚下火ヒーター×6本UT×3枚
電源三相AC200V 30A 50/60Hz三相AC200V 20A 50/60Hz
定格消費電力5.52kW6.64kW6.0kW
質量約83kg約85kg約314kg
搬送方法SUSメッシュネットコンベア搬送
搬送速度35~300mm/min

卓上加熱炉STHシリーズは、コンパクトでありながら本格的な遠赤外線加熱ができ、開発現場の加熱工程を最適化できる1台です。本記事で紹介したような課題を感じていらっしゃるお客様は、ぜひ一度TPR商事までお問い合わせください。開発現場の加熱工程を最適化するために全力でサポートさせていただきます。