
「樹脂の量が多いので、ポッティングや接着剤の硬化は、時間が掛かって当たり前。」とお考えではありませんか?
電子部品のポッティングや各種接着工程では、硬化の待ち時間が生産性を左右します。硬化時間が長いほど仕掛品は滞留し、スペースを圧迫し、リードタイムも延びてしまいますが、無理に温度を上げれば品質不良のリスクが高まります。
こうしたジレンマを解消する手段として注目されているのが、遠赤外線を活用した短時間加熱です。
本記事では、なぜ樹脂の硬化工程がボトルネックになりやすいのかを解説し、短時間加熱で品質とスピードを両立させる方法について解説します。
電子部品のポッティング材や接着剤の硬化工程は、生産ライン全体の流れを止めてしまう要因になりやすい工程です。多くの材料は所定の温度と時間で十分に反応・乾燥させる必要があります。
前後の工程を改善しても、硬化工程で時間がかかるため、仕掛品専用の保管スペースが必要です。生産量が増えるほど仕掛品も増え、現場スペースを圧迫するだけでなく、人的ミスや取り扱い不良のリスクも高まります。結果として、硬化工程が詰まりポイントとなり、ライン全体のボトルネックになるのです。
さらに難しいのは、時間短縮と品質確保の両立です。硬化を早めようとして温度を急激に上げると、表面だけが先に硬化してしまい、内部の揮発成分や反応ガスが抜けにくくなります。その結果、気泡や膨れ、接着強度の低下といった不具合につながることが否定できません。
一方で、品質を優先して低温で長時間硬化させれば、生産性はどうしても下がります。このジレンマ構造が、硬化工程がボトルネックになりやすい根本的な理由です。
短時間硬化を実現するうえで有効なのが遠赤外線加熱です。
遠赤外線は、材料の分子振動に作用しやすい波長帯のエネルギーです。熱風のように空気を介して間接的に加熱する方式と比べて、ワーク自体がエネルギーを受け取りやすい特徴があります。そのため、ワークの内部まで温度が上がりやすく、効率が良い加熱が可能です。
熱風加熱では、表面温度が先に上がりやすく、早期に硬化膜が形成されることがあります。これが内部の揮発成分や微小気泡の逃げ道をふさいでしまう原因になります。遠赤外線による効率的な加熱では、全体の温度上昇をバランスよく進めやすく、気泡が発生しにくいのがメリットです。
ここからは樹脂の硬化時間を劇的に短縮した導入事例をご紹介します。
それぞれの事例を掘り下げて確認していきましょう。
従来、熱風バッチ式加熱炉で1〜2時間かけて硬化させていたウレタン系ポッティング材について、遠赤外線卓上加熱炉を導入した例です。
コンベア方式に変更することで、「急昇温→温度保持」という温度プロファイルの最適化に成功し、硬化時間が30分未満まで短縮できました。
バッチ式からコンベア式に変更することで、前後工程と接続してのインライン化も実現して、省スペースと省人化にも貢献した事例となります。
小型部品のエポキシ樹脂接着剤の硬化でも、従来は熱風式のバッチ炉が主流でした。エポキシ樹脂の硬化温度は約150℃とウレタン樹脂よりも高温のため、熱風式では昇温までの時間がかかり、インライン化が難しいとされてきたためです。
遠赤外線卓上加熱炉で検証を重ねた結果、これまで40分以上掛かっていた加熱処理時間が10分まで短縮でき、コンベア式でのインライン化に成功しました。
ポッティング材やエポキシ樹脂接着剤など樹脂材料の仕様書には、推奨加熱時間の記載があります。これはあくまで「熱風加熱」での処理時間であり、遠赤外線加熱での処理時間は記載されていません。遠赤外線加熱に切り替えることで、時短になる可能性は大いにあります。
TPR商事では、遠赤外線加熱による時短事例をまとめた資料を無料で配布しています。以下よりダウンロードできますので、気になる方はお気軽にご覧ください。