
「省エネ設備としてヒートポンプが注目されているけれど、なんで?」とお考えではありませんか?
工場や商業施設では、電気料金や燃料価格の高騰、さらにはCO2排出量削減への対応を背景に、省エネ設備への関心が高まっており、注目されているのがヒートポンプです。
家庭用エアコンや給湯器で広く利用されている技術であり、近年では工場の温水供給や加温工程、排熱回収などにも活用されています。
本記事では、ヒートポンプとはどのような仕組みなのか、なぜ省エネにつながるのか、工場ではどのような用途に使われているのかをわかりやすく解説します。
ヒートポンプとは、空気中や水、排熱などに存在する熱エネルギーを集め、必要な場所へ移動させる技術のことです。「熱を作る設備」と思われがちですが、実際には熱を運ぶ設備となります。
冬場のエアコンは外気温が低くても外の空気から熱を集め、その熱を室内へ送り込んで暖房しています。家庭用の給湯機にもヒートポンプの原理が使われているのです。
つまりヒートポンプは、電気を使って直接熱を発生させるのではなく、周囲にある熱を効率よく利用することで加熱を行う仕組みです。この特徴により、従来の燃焼設備に比べてエネルギー効率が高く、省エネ設備として多くの分野で採用されています。
ヒートポンプは、「冷媒」と呼ばれる熱を運ぶ物質を循環させることで熱を移動させています。基本的な流れは次のとおりです。
それぞれを以下で確認していきましょう。
まず、空気や排熱、水などから熱を吸収します。冬の外気は冷たく感じますが、実際にはゼロではなく、利用できる熱エネルギーが存在しています。ヒートポンプはそのわずかな熱を効率よく集め、冷媒に取り込むことで、次の加温工程へつなげているのです。
工場の排熱や温排水を活用できる場合は、さらに高い効率が期待できます。周囲にある熱を無駄なく回収できる点が、ヒートポンプの大きなメリットです。
熱を吸収した冷媒は、コンプレッサー(圧縮機)で圧縮されます。圧縮すると冷媒の圧力が高まり、それに伴って温度も大きく上昇し、もともとは低温だった熱エネルギーを、給湯や加温に使える高温の熱へ変えていきます。
電気の力で熱を「作る」のではなく、熱を使える温度まで高めるのがポイントです。少ない電力で効率よく温度を引き上げられるため、省エネ性に優れています。
高温になった冷媒は熱交換器で水や空気へ熱を渡します。これにより、必要な場所へ温水や温風として熱を供給できるのです。その後、冷媒は再び温度を下げて元の状態に戻り、再び熱を集めるサイクルを繰り返します。
この一連の循環によって、少ない電力で大きな熱量を安定して利用できるよう、用途に応じて温度を保ちながら連続運転できるため、工場や施設の熱源としても活用しやすいのです。

ヒートポンプが省エネ設備として注目される理由は、投入した電力以上の熱エネルギーを利用できるためです。
例えば、電気ヒーターは1kWhの電力で約1kWh分の熱しか得られませんが、ヒートポンプは空気中などにある熱も活用するため、同じ1kWhの電力から数倍の熱エネルギーを得られる場合があります。
この効率を示す指標が「COP(成績係数)」です。COPが4であれば、1の電力で4の熱エネルギーを供給できることを意味します。つまり、少ない電力で大きな熱量をまかなえるため、運用条件が合えばランニングコストの削減が期待できます。
ヒートポンプは燃料を燃焼させずに加温できるため、重油・灯油・ガスの使用量削減につながるほか、CO2排出量の削減や排ガス設備の不要化といったメリットも期待できます。さらに、火気を扱わないことから、安全性の向上にもつながります。
ただし、必要温度や運転時間、地域の気温などによって効果は異なるため、導入前には用途や運用条件を十分に確認することが大切です。
ヒートポンプは空調だけでなく、多くの温水利用設備に活用されています。主な用途を以下の表にまとめましたので、ご覧ください。
| 用途 | 活用例 | 特徴 |
| 空調設備 | オフィスや工場内の冷暖房設備 | 最も普及している用途で、快適な室内環境づくりに活用されている |
| 給湯設備 | 社員食堂、厨房、宿泊施設、福祉施設など | 大量のお湯を効率よく供給できる |
| 温水加温 | 製造工程で使用する温水の循環加温 | 一定温度を保ちながら温水を供給でき、食品工場や化学工場などで多く採用されている |
| 洗浄工程 | 部品洗浄、洗浄液の加温 | 洗浄温度を一定に保つことで、品質の安定化にもつながる |
| 浴場・温浴施設 | 工場の大浴場、温浴施設、スポーツ施設など | 給湯・加温設備として利用され、安定した温水供給に役立つ |
| 保温循環 | タンクや配管内の温水循環 | 温度を維持する用途に適しており、熱損失の抑制にもつながる |
| 排熱回収 | 工場設備から発生する排熱の再利用 | 排熱を有効活用することで、エネルギー効率をさらに高められる |
ヒートポンプとボイラーは、どちらも熱を供給する設備ですが、熱を作る方法が異なります。
| ボイラー | ヒートポンプ |
| 燃料を燃焼して熱を作る | 空気や排熱などの熱を移動させる |
| 重油・ガスなどを使用 | 主に電気を使用 |
| 高温蒸気が得意 | 温水加温が得意 |
| 高温用途に適する | 省エネ性が高い |
そのため、「どちらが優れている」というよりも、用途に応じて使い分けることが大切です。
例えば、蒸気を大量に使う工程や、非常に高い温度が必要な工程では、ボイラーのほうが適しています。一方で、温水循環や給湯、40〜90℃程度の加温といった用途では、ヒートポンプの省エネ効果を活かしやすくなります。
設備の条件によっては、ボイラーとヒートポンプを組み合わせたハイブリッド運転も有効です。

ヒートポンプは省エネ性の高い設備ですが、導入効果を十分に発揮するためには、事前にいくつかの条件を整理しておくことが大切です。用途や既設設備との相性によって、必要な機種や運転方法が変わるため、次のポイントを確認しておくとよいでしょう。
必要温度や湯量、使用時間帯、既設設備との接続条件、設置スペース、電気契約の状況などを事前に把握しておくことで、導入後のトラブルを防ぎやすくなります。
例えば、洗浄工程で60℃前後の温水を1日何時間使うのか、浴場や給湯用途でピーク時にどれだけの湯量が必要かといった点を整理しておくと、機種選定がしやすくなります。
また、既存のボイラーや貯湯タンク、配管をそのまま活用できるか、屋外に本体を設置するためのスペースが確保できるか、受電容量に余裕があるかといった確認も大切です。
現在の設備との相性や運用方法まで確認しておくと、ヒートポンプの性能をより引き出しやすくなり、効率的な運用につながります。
工場や施設で温水を利用する設備では、用途に応じたヒートポンプの選定が重要です。
『CAONS®(カオンズ)』は、温水を循環させながら効率よく加温できる循環加温ヒートポンプです。30℃程度の低温水から90℃までの高温水供給に対応しており、さまざまな温水利用設備へ適用できます。
既設ボイラーとの併用運転や、燃焼式熱源機からの更新にも対応可能です。燃料価格の変動リスクを抑えながら、省エネとCO2削減の両立を目指したい企業にとって、有力な選択肢の一つとなります。
CAONSの商品ページは以下をご覧ください。(※当該商標は日本キヤリア株式会社の登録商標です。)
ヒートポンプは、空気中や排熱などの熱エネルギーを利用して加温する高効率な設備です。少ない電力で大きな熱量を得られるため、省エネやランニングコスト削減、CO₂排出量削減につながる可能性があります。
特に工場や施設では、給湯や温水加温、洗浄工程、保温循環など幅広い用途で活用されており、脱炭素への取り組みを進める設備としても注目されています。
ヒートポンプの導入を検討されている方は、お気軽にTPR商事までお問い合わせください。お客様の現状をヒアリングさせていただき、現場に最適なシステムをご提案いたします。