
「受注が増えているのに、加熱工程が追いつかず増産できない」「加熱時間を短縮したいが、加熱炉を新設する予算は確保できない」とお悩みではありませんか?
製造現場では、乾燥や熱処理などの加熱工程が生産能力を左右するボトルネックになることがあります。
こうした課題を解決する方法の一つが、既存設備のヒーター更新です。加熱方式やヒーターの出力を見直すことで、加熱時間を短縮し、生産能力を向上できる可能性があります。
本記事では、加熱工程の生産能力が不足する原因や、ヒーター更新によって改善できるケース、設備更新を検討すべきケースについて解説します。
製造現場で増産を進める際、課題になりやすい工程の一つが加熱・乾燥工程です。
塗装後の乾燥や樹脂部品の加熱、金属部品の熱処理などでは、ワークを所定の温度まで加熱し、一定時間保持する必要があります。加熱工程に時間がかかると、前後の工程で生産能力に余裕があっても、加熱炉への投入待ちや搬出待ちが発生し、工場全体の生産量を上げることができません。
バッチ処理では、1回の処理に数十分から数時間かかることもあり、増産に対応するためには加熱時間の短縮や処理回数の増加が求められます。
しかし、加熱炉を新設するには、設備費用だけでなく、設置スペースや電源容量の確保も必要なので、既存設備を活用しながら加熱工程のタクトタイムを改善できないか検討することが大切です。
加熱工程の生産能力が不足する原因は、一つではありません。まずは、どこに問題があるのかを把握することが重要です。
生産能力が不足する主な原因である上記4つを、掘り下げて確認していきましょう。
ヒーターの出力が不足していると、ワークを所定の温度まで加熱するのに時間がかかります。
ワークの投入量を増やした結果、従来のヒーターでは十分な熱量を供給できなくなり、昇温時間が長くなるのが一例です。
また、設備の経年劣化やヒーターの一部故障によって、設計時に想定していた加熱能力を発揮できていない可能性もあります。
こうした場合は、ヒーターの出力や配置を見直すことで、加熱時間を短縮できる可能性を探りましょう。
ヒーターの出力が十分でも、ワークに熱が伝わるまでに時間がかかる場合があります。
例えば、炉内の空気を加熱してからワークを温める熱風方式では、炉内の昇温に時間がかかるほか、ワークの形状や材質によっては熱が内部まで伝わるのに時間を要します。
このような場合は、ヒーターの出力だけでなく、加熱方式や熱の伝わり方を見直すことが重要です。
加熱方式によって、ワークへの熱の伝わり方は異なります。そのため、加熱方式と対象となるワークが合っていない場合は、加熱炉の能力がフルに発揮できません。
例えば、熱風式は炉内の空気を介してワークを加熱する方式であり、遠赤外線ヒーターは放射した赤外線によって、熱をワークの表面から内部に伝える方式です。
ワークの材質や形状、加熱対象となる範囲によっては、加熱方式を見直すことで効率的に熱を伝えられる可能性があります。
ヒーターの出力や加熱方式に問題がなくても、バッチ処理そのものが生産能力の制約になっているケースがあります。
例えば、1回の処理に60分かかるバッチ式の加熱炉では、1時間あたりの処理回数は原則として1回です。加熱時間を短縮できたとしても、ワークの投入や搬出、冷却、段取り替えなどに時間がかかっている場合は、生産能力の改善幅が限られます。
このような場合は、ヒーターの更新だけでなく、設備構成や搬送方式の見直しも検討することが必要です。
加熱時間を短縮するために、まず設定温度を上げることを考えるかもしれませんが、設定温度を上げるだけでは、必ずしもタクトタイムの改善につながるとは限りません。
例えば、ワークの表面だけが過剰に加熱されると、変色や変形、品質不良につながる可能性があり、塗膜の乾燥や樹脂の硬化などでは、温度条件によって仕上がりや製品性能が変わる場合もあります。
また、設備の耐熱温度や安全性、消費電力量への影響も考慮しなければなりません。
加熱時間を短縮するには、設定温度を上げるだけでなく、必要な熱量を適切に供給し、ワークに効率よく熱を伝えることが大切です。
既存の加熱炉を活用しながら生産能力を向上させたい場合、ヒーターの更新が有効な選択肢の一つです。
例えば、ヒーターの出力不足によって昇温に時間がかかっている場合は、必要な電気容量や設備条件を確認したうえで出力を見直すことで、加熱時間を短縮できる可能性があります。
ヒーターの劣化や故障によって本来の加熱能力を発揮できていない場合も、交換による改善が期待できるでしょう。ワークに適した加熱方式へ変更することで、熱の伝わり方を改善できるケースもあります。
ただし、更新にあたっては電気容量や制御機器、取付寸法、炉内の温度分布などを確認し、設備全体への影響を考慮することが大切です。
一方で、ヒーターの更新だけでは十分な改善が難しいケースもあります。
例えば、炉内の温度分布が不均一である場合や、断熱性能が不足している場合は、ヒーターを高出力化しても期待した効果は得られないでしょう。
また、ワークの投入・搬出に時間がかかっている場合や、バッチ処理そのものが生産能力の制約になっている場合は、炉体や搬送機構を含めた設備全体の見直しが必要です。
既存設備の電気容量や設置スペースに制約がある場合も、ヒーターの更新だけでは対応できないことがあります。
こうしたケースでは、加熱炉の更新や増設、連続処理方式への変更なども含めて検討することが大切です。

ヒーター更新による効果を確認するには、加熱時間だけでなく、生産性や品質、コストへの影響も評価する必要があります。主に、次の5つのKPIを確認しましょう。
| KPI | 確認する内容 |
| 処理時間 | 1回の加熱にかかる時間がどの程度短縮されたか |
| 1時間あたり処理数 | 単位時間あたりの生産量がどの程度増加したか |
| 消費電力量 | 1回の処理や製品1個あたりの電力消費量がどう変化したか |
| 不良率 | 加熱条件の変更によって品質に影響が出ていないか |
| 作業工数 | 投入・搬出や段取りなどにかかる作業時間がどう変化したか |
例えば、加熱時間を30%短縮できても、消費電力量が大幅に増加したり、不良率が上昇したりすれば、期待した効果だとは言えません。
加熱時間だけでなく、これらの指標を総合的に評価することで、ヒーター更新による生産能力の改善効果を把握できます。
加熱時間を短縮できると、既存設備の生産能力が向上するだけでなく、製造工程そのものを見直せる可能性があります。
例えば、従来はバッチ式の加熱炉でまとめて処理していたワークを、短時間で加熱できるようになれば、前後の工程と連続して処理するインライン化を検討することが可能です。
インライン化によって、ワークの搬送や一時保管にかかる時間を削減できれば、工程全体のタクトタイム改善につながるでしょう。加熱時間の短縮を単独の改善にとどめず、工程全体の生産性向上につなげる視点が大切です。
TPR商事では、遠赤外線ヒーターを活用した加熱工程のインライン化をご提案できます。以下では、実際にインライン化した事例を紹介していますので、ぜひダウンロードしてみてください。
TPR商事が取り扱う「QUTクイックウルトラサーモ」は、最速15秒で約500℃まで瞬時に昇温する遠赤外線ヒーターです。遠赤外線ヒーターは、放射された赤外線がワークの表面に吸収され、熱を内部にすばやく伝えて加熱します。
ワークの材質や形状、表面の状態などによっては、熱風式などの従来方式と比較して、効率的に加熱できる可能性があるヒーターです。
既存の加熱炉への組み込みや、加熱方式の変更による能力改善を検討する際は、実際のワークを用いた加熱テストで効果を確認しましょう。
QUTの特徴については、以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
ヒーター更新による生産能力の改善を検討する際は、実際のワークを用いた加熱テストを実施することをおすすめします。加熱テストでは、次の項目を確認しましょう。
| 確認項目 | 確認する内容 |
| 到達時間 | 目標温度まで何分で到達するか |
| 温度分布 | ワーク各部の温度にどの程度の差があるか |
| 加熱ムラ | ワークの形状や配置によって加熱ムラが発生していないか |
| 消費電力 | 実際の運転時にどの程度の電力を消費するか |
これらの条件を整理したうえで、ヒーターの種類や出力、照射距離などを変えながら、最適な加熱条件を検証します。加熱時間だけでなく、消費電力量や品質への影響も確認することで、実際の生産工程に導入した際の効果を判断しやすくなります。
加熱工程の能力不足を改善するには、原因を特定し、ワークに適した加熱方式や設備構成を検討することが大切です。
TPR商事では、遠赤外線ヒーター「QUTクイックウルトラサーモ」をはじめ、加熱工程の改善につながる製品や設備をご提案しています。
ワークの材質や形状、現在の加熱条件などを踏まえ、加熱テストを通じて能力改善の可能性を検討することも可能です。
加熱工程の生産能力向上やヒーター更新をご検討の際は、ぜひTPR商事までお気軽にお問い合わせください。