自動車用シートには革が使われることが多く、フレームに取り付けた際に「しわ」になってしまうことも。
自動車用シートには以前よりも多くの電子部品が搭載されており、スチームアイロンなどの装置でしわ取りが難しくなっています。
そこで注目されているのが、「遠赤ヒーターを使ったしわ取り」方法です。
本記事では、遠赤ヒーターを使った自動車用シートのしわ取り方法について解説します。
自動車用シートの構造を簡単に確認してみましょう。
まずはシートの骨格としてシートフレームとシートスプリングがあります。
シートフレームはその名の通り、自動車用シートの骨格を形成する金属製の部品です。
フレームの内側には、乗員の体重を支えるためにシートスプリングが取り付けられます。
ばねメーカーが自動車用シートの製造を行なうことが多いのは、このスプリング技術を応用しているためでしょう。
フレームの上に樹脂部品であるシートパッドが装着され、その上から革や合皮などの表皮材をかぶせて、自動車用シートはできあがっています。
近年は機能性が高い自動車が続々と登場しており、自働車用シートの中にも高度な電子部品が多数搭載されることが多くなりました。
電子部品は熱や湿気に弱いため、従来のスチームアイロンなどの方法でしわ取りすることが難しくなってきているのです。
革や合皮の表皮材は、折り畳まれた状態で保管されている場合が多く、シートフレームに取り付ける際に、どうしてもしわが寄ってしまいます。
しわを無くすためには、表皮材を加熱して柔らかくしてから伸ばすことが必要です。
従来はスチームアイロンを表皮材に直接当ててしわを伸ばす方法が主流でしたが、電子部品が多く搭載されるようになり、温度や湿度管理が重要となっています。
また熱源を直接シートに当てることは、「焼け」や「焦げ」などの品質不良の原因にもなりかねません。
遠赤ヒーターを使えば、シートと非接触で効率よく表皮材を加熱することができます。
さらに放射温度計など温度センサーを使うことで、シートの温度を管理することが可能です。
遠赤ヒーターから発生する遠赤外線は革と非常に相性が良く、短時間でシートを昇温させます。
温度センサーを用いて温度管理をすることで、電子部品を守りながら、焼けや焦げを発生させずに、シートのしわ取りができるでしょう。